実践的な資産形成戦略
借金返済と投資、どちらを優先すべきか
2026-09-29
自分がFIREまでどのくらいの位置にいるか気になりませんか?
FIRE計算機を試す
FIREを目指す人ならほぼ誰もが一度は直面する分かれ道があります。月末に少し余裕資金ができたとき、それをクレジットカードのリボ払いや奨学金の返済に回すべきか、それとも証券口座に入れるべきか迷う場面です。どちらも前向きな選択に思えるからこそ判断が止まってしまい、明確な比較なしにはそのまま何もしないか、両方に少しずつ分散させて結局どちらも大きく前進しないということになりがちです。幸い、これは意見の問題というより、数字を並べてみれば比較的はっきり答えが出る算数の問題に近いものです。
借金を先に返すことが「確定リターン」である理由
借金の返済に充てたお金1円は、その借金の金利分だけリターンを生みます。しかもこのリターンには変動も不確実性もありません。年利15%のリボ払いを返済することは、実質的には年利15%を契約上保証された投資先を見つけたのと同じ効果です。どんな分散投資ポートフォリオも、これほどの利回りを毎年確実に保証したことはありません。多くのファイナンシャル教育者が高金利の借金を優先順位の最上位に置く理由はここにあります。**比較すべきは「借金返済か株式投資か」ではなく、「確定した15%と、歴史的な平均で7〜10%程度、しかも決して保証されないリターン」**なのです。こう捉え直すと、リボ払いが残っている状態でインデックスファンドにお金を入れることは、堅実な選択どころか、むしろリターンの低い選択に見えてきます。
判断が難しくなるポイント:低金利の借金
金利が下がると話は変わってきます。金利1%台の住宅ローンや、利子補給のある奨学金、金利3〜5%程度の自動車ローンは、本当に判断が分かれる領域に入ります。長期的な株式市場の平均リターンはインフレ調整前でおおむね7〜10%程度とされているため、こうした借金を急いで返すより投資に回した方が、平均的には結果として上回ってきたケースが多いのです。ただし、特定の年に必ずそうなるという保証はまったくありません。ここから先は、スプレッドシートだけでは捉えきれない要素が判断に関わってきます。その借金が心理的にどれだけ重荷になっているか、利子がその国の税制上控除の対象になるか、収入がどれだけ安定していると感じられるか、といった点です。ここに万人に当てはまる正解はありません。残高があるだけで夜も眠れないという人であれば、投資の方が平均的にわずかに上回ってきたと知りながらも、あえて低金利の住宅ローンを先に返すという判断を合理的に下すこともあります。
具体例:毎月4万円をどちらに回すか
年収およそ350万円で、年利15%のリボ払い残高30万円と、別に年利4%の奨学金残高80万円を抱えている人を想定してみましょう。この人が毎月4万円の余剰資金を作れたとします。この4万円をすべてリボ払いに充てると、約8か月でこの残高はゼロになり、その過程で放置していれば発生していたはずの利子およそ2万円弱を節約できます。このお金は、どんな市場リターンも「上回る」必要のないお金です。そもそも支払われずに済むお金だからです。リボ払いの残高がゼロになって初めて、同じ4万円を年利4%の奨学金返済に回すか投資口座に回すかを比較する意味が出てきます。この段階での比較はかなり拮抗しており、各自のリスク許容度や資金が必要になる時期によって、どちらの選択も十分に合理的でありえます。
ほぼ誰もが同意する2つの例外
上記の金利比較を覆す状況が2つあり、一般的なルールに従う前にこの2点を確認しておく価値があります。1つ目は勤務先の退職金マッチング拠出です。会社がマッチング拠出をしてくれる制度であれば、少なくともそのマッチング分を受け取ることは、追加の借金返済よりも優先されることが多いです。マッチングを見送ることは、通常の投資判断というより、すでに確定しているお金をそのまま置いていくことに近いからです。2つ目は緊急資金がまったくない状態です。最低限の現金の余裕がなければ、思いがけない車の修理代や医療費が、せっかく返済したはずのカードに逆戻りしてしまい、それまでの進捗が台無しになります。多くの人はおおよそ次のような順番で整理しています。会社のマッチングを受け取る、少額の初期緊急資金を作る、高金利の借金を片付ける、緊急資金をさらに積み増す、そして残った借金と投資の配分は上記の金利比較を基準に決める、という流れです。
よくある借金の種類を比較する
「借金」とひとくくりにするより、種類ごとにどのあたりに位置するかを考えると分かりやすくなります。リボ払いや後払い決済(BNPL)は、現実的などんな投資リターンよりもはるかに高い金利を持つことが多く、これらを最優先で返済すべきという根拠が最も強くなります。フリーローンや自動車ローンはおおむね6〜12%程度の中間ゾーンにあり、多くの人にとっては依然として先に返済する方が有利ですが、投資との差は縮まります。住宅ローンや利子補給のある奨学金の多くは1〜5%程度の水準にあり、歴史的な市場平均に実際にかなり近いため、先に返済することとその差額を投資に回すことのどちらにも一定の根拠があります。どちらが正しいかは、明確な数学的な勝者というより、借金を抱えていることへの個人の心理的な受け止め方によって決まることが多いのです。これは特定のローン商品を勧めたり避けたりするものではなく、実際の金利・条件・税制上の扱いは金融機関や国によって異なるため、こうした区分をそのまま絶対的なルールとして受け取る前に、自分自身の借入条件を確認することをお勧めします。
この判断でよくある失敗
最もよくある失敗は、この判断を一生に一度きりの選択だと捉えてしまうことです。たとえば投資を一時的に止めれば8か月で高金利のリボ払いを完済できる人が、まるでどちらか一方の道を永遠に選ばなければならないかのように考えてしまうケースが多いのですが、実際に賢明なやり方はたいてい「借金を先に、その後で投資」という順序であり、「借金だけ」ではありません。2つ目の失敗は、緊急資金の段階を完全に飛ばして借金の返済だけを積極的に進めてしまい、予期しない出費が発生するとそのままカードに逆戻りしてしまう、終わりのない循環を作ってしまうことです。3つ目は比較対象を間違えることです。借金の確定金利を、市場が特に好調だった一年のリターンと比較するのではなく、現実的な長期平均と比較すべきなのですが、これを誤ると、高金利の借金がまだ残っている状況でも投資の方が明らかに良い選択に見えてしまう錯覚が生まれます。
計算機に実際に入力してみる
高金利の借金を片付け、こうした比較をもとに余剰資金の行き先を決めたら、上のFIRE計算機でその毎月の金額が時間とともにどう複利で増えていくかを確認するのが自然な次のステップです。2つのシナリオで計算してみてください。1つは今後1〜2年かけて借金を先に完済し、その後から追加の投資を始める場合、もう1つは同じお金を今日から直接投資口座に入れる場合です。上で見た抽象的な金利の議論よりも、この2つの予測タイムラインを直接比較する方が、実際に行動に移しやすい結論になりやすく、高金利の借金を片付けるための短い遅れが、その場で感じるほど全体のFIREタイムラインに大きな損失を与えないことを示すケースが多いです。
自分がFIREまでどのくらいの位置にいるか気になりませんか?
FIRE計算機を試す